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大川精螺工業㈱の自社開発・高性能LEDソーラー街灯の商品化

2013年02月12日

 

大川精螺工業㈱の自社開発・高性能LEDソーラー街灯の商品化

~ ソーラー事業進出でピンチをチャンスに ~

 

 大川精螺工業株式会社(東京都品川区東五反田2-20-4、代表取締役 大川克良)は、昨年9月に、ソーラー事業の第二弾となる新商品、「TRUST ONE SLIM(トラストワンスリム)」を発表しました。これは、2011年6月1日に発表した、LED高照度・高発電量を特徴とする、自社開発LEDソーラー街灯、「TRUST ONE(トラストワン)」のシリーズ商品で、大川精螺工業株式会社はソーラー事業のラインナップを強化することになりました。

 会員企業の新規事業開発の一例として、商品の特徴や開発に至る背景、今後の方針などについてうかがいました。

未来開発パブリシティ委員会事務局

 

 

Q:自社開発ソーラー街灯「TRUST ONE(トラストワン)」とはどのような特徴があるのでしょうか?

A: 一昨年(2011年)発表した「TRUST ONE(トラストワン)」は、高照度・高発電量タイプのLEDソーラー街灯です。商品コンセプトは「消えない安心、まちの灯台」です。ソーラー発電で環境にやさしく、明るく、消えない安心を提供しようとするもので、高いスペックでありながら、広く普及をめざし低価格を実現しました。

 また、これまで自動車部品製造での長年の経験を活かし、品質保証・保守体制を強化した商品となっています。

 

Q:今回第二弾として発表された「TRUST ONE SLIM(トラストワンスリム)」はどのような商品でしょうか?

A:  「TRUST ONE(トラストワン)」の「頑丈・余裕の発電・蓄電量」という強みを維持しつつ、デザイン性が求められる都市型需要への対応商品として開発しました。デザイン会社と共同で、スタイリッシュなLEDソーラー灯になっています。

 

Q:どのようなところにお奨めでしょうか?導入実績は?

A:  「TRUST ONE(トラストワン)」発売から約1年半、自治体や民間企業に導入されています。その導入目的には、省エネ・節電、エコ啓発、災害時のライフラインの確立などが上げられます。

 省エネ・節電では、大震災、福島原発事故以降、節電機運が高まっていますから、従来型街灯の代替需要を見込んでいます。エコ啓発目的とは、CO2排出への規制の高まりに対応して、環境対策に積極的に取り組む姿勢をPRするための導入です。

災害時のライフラインの確立というのは、被災・停電時にも消えない街灯としての活用です。東日本大震災時の仮設トイレ設置時に、本製品を鉄板へ仮設して設置しました。弊社水戸工場の敷地内は、東日本大震災の影響により停電が発生しましたが、本製品で急場をしのぐことができました。

 

Q:お客様の評判はいかがでしょうか?

A: 防犯目的でトラストワンを導入されたお客様からは、「LED照明なので、電球の交換頻度が下がることと、常夜灯でありながら、電気代を食わずに防犯に役立つのがいいと思います」とうかがっています。工場の照明に導入されたお客様からは、「トラストワンを導入することでエコファクトリーをPRすることができました」などの声をいただいています。

 

Q:開発の背景や考え方など教えて下さい。

A: 当社は自動車部品製造を中心に、冷間鍛造技術の研究・開発を重ね、長年「自動車用重要保安部品(ブレーキホース口金具他)」の生産に携わってきました。冷間鍛造技術においては、従来不可能とされてきた複雑形状の部品に関しても冷間鍛造化を実現するなどし、「アイデア×ものづくり」を追求してまいりました。

 また、当社は「スマートファクトリー」としての取り組みも注力しており、工場事務所棟への太陽光発電導入、電気自動車導入などによる環境に優しい「エコファクトリー」をコンセプトとした工場を目指して参りました。

 これらから蓄積した技術やノウハウを一層の強みとして行くためにも、新商品として「TRUST ONE(トラストワン)」の開発を決めました。市場の環境意識が高まったことも、決断を促すことになりました。

 

Q:御社は、新規事業をどのように位置づけているのでしょう?

A: まだ記憶にも新しいリーマンショックの時には、世界不況の煽りをうけ、急激に売上が落ち込み苦しみました。このような危機にいつ巻き込まれるかも知れません。

また今後を展望すれば、当社の納入先である自動車市場にも大きな変化が起こります。その一つが電気自動車です。電気自動車が普及すると、当社の事業の柱であるブレーキホースの口金具が減っていくことになります。弊社の経営にとって大変な危機であります。

私たちはこのような危機をチャンスと捉えて新しい事業の芽を育てて行くことが大事だとおもっています。この事業をそう位置づけて、当社の培ってきた信頼の技術力・開発力を世の中のニーズに合致した新事業に昇華させて行きたいと思っています。

 

Q:新規事業として、ソーラー事業を選んだ理由は何ですか?

A: 当社の哲学や経験を行かす事が一番大事だという認識に立ち、議論を重ね以下の条件に適合するものという整理をしました。

 ①環境にやさしいもの

 ②時代に流されないもの

 ③社会に貢献できるもの

 ④自己完結できるもの

 ⑤蓄積してきた、ものづくりのノウハウや発想力が出せるもの

 

Q:販売に至るまでの御社内の取り組み状況を教えて下さい。

A: 新規事業をソーラー街灯事業と決定した後は、社内で専任チームを結成し、商品企画・開発から、営業まですべてを自社で行なってきました。自動車部品製造に携わる中で常に環境問題に取り組んできた立場を活かすことができました。

 

Q:今後の決意など?

A: 早く当社の事業の柱となるよう、太陽光発電の啓蒙と製品の販売を進めてまいります。東日本大震災を契機に、より一層節電対策やエネルギーに対する関心が高まり、この事業の使命を感じました。今後も、当社の技術力・開発力を活かし、多角的な新商品展開を行い、町や避難所の灯りと安全・快適さをプロデュースしていく決意です

 

以下参考データ

ホームページリンク http://www.okawaseira.co.jp/

 

 

【TRUST ONE(トラストワン)】概要

「TRUST ONE(トラストワン)」は“消えない安心、まちの灯台”をコンセプトに開発され、低価格で余裕の発電・蓄電量を実現しました。

大川精螺トラストワンロゴ、写真.jpg

 

【主な特徴】

① 2倍の安全係数で安心設計

② 水銀灯100W相当のトップレベルの明るさを実現

③ 1日3.3Hで2日分の発電が可能

④ 余裕の5日間連続点灯(1日12時間点灯 100%充電時)

⑤ 各部品に日本製を採用して信頼性を向上

⑥  110W 大型ソーラーパネル搭載

 

【製品仕様】

 ●ソーラーパネル   単結晶太陽電池55W×2枚

 ●バッテリー      12V 35Ah×2台

 ●灯具         LED照明 15W(調光機能有り)

 ●定格点灯時     15W 水銀灯100W相当

 ●ポール        材質STKM13Aφ139.8×2178 

               □300×300×1262

 ●表面処理        アクリル焼付け塗装(シルバー)

 ●照明高さ       2.96m(全高 標準型4m)           

 ●無日照保証日数  5日間は点灯~消灯を繰り返します。

 ●夜間点灯時間    日没から翌朝までの12時間

               (4時間100%点灯後8時間25%点灯)

 ●充電                約3.3時間で2日分発電します。

 ●耐風速        風速60m/s

 

大川精螺トラストワン仕様.jpg

 

 

【想定される導入シーン】

①  〈節電用〉電気代の節約施策として、現状設置している街灯の代替街灯としての導入

※福島原発に関連した節電機運の高まりに対応

② 〈非常用〉震災や火災等の非常用電灯として導入

③ 〈エコPR用〉環境に配慮していることを訴求するために導入

④ 〈集客用〉計画停電時の集客対策としての導入

⑤ 〈防犯用〉防犯対策としての導入

⑥ 〈景観用〉新しく施設や店舗を作る際に敷地全体の景観をよりよくする為の施策としての導入

⑦ 〈まちづくり用〉地方自治体のまちづくり施策の一部としての導入

⑧  復興用〉復興計画の一部としての導入

大川精螺トラストワン設置事例(震災仮設トイレ).jpg

 

※東日本大震災時に仮設トイレに移設した実例

 

「TRUST ONE SLIM(トラストワンスリム)」

トラストワンシリーズの第2弾、都市型需要に配慮したスタイリッシュなデザインが特徴のトラストワンスリム

トラストワンスリム.jpg