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2019年「ねじの日」によせて

2019年05月31日

2019年「ねじの日」によせて

一般社団法人日本ねじ工業協会
会 長  椿 省 一 郎

 令和元年、新しい御世の幕開けを平成両陛下への感謝の気持と令和天皇への信任を感じつつ平穏に迎えることができたこと、国民の一人として有難く思うと共に、令和(Beautiful Harmony)という元号の通り、うつくしく和やかな時代となって欲しいと念願します。さて令和の時代をどのように予測されるでしょうか。

 令和となっても国内の産業構造面では決して平穏といえず、少子高齢化は深刻度を増すばかりでしょうし、世界に目を転じると大変革の時代を迎えていると感じます。平成は東西冷戦が終わった年に始まり、多極化グローバル化のなかで13億人の中国が世界市場に台頭し、相対的に日本の国力や経済力が低下し、また第4次産業革命が始まり、加速度のついた技術革新のスピードに、いまや日本は遅れをとりつつあります。

 新時代では、AI,IOT、ビッグデータなどの革新的技術が社会基盤までも変革し、人も物も、その全ての面での状態や動き、内外面の微細な変化、置かれた環境条件までもが瞬時にデータ化され、蓄積された過去のデータと共に集計加工され、そして良くも悪くも利用出来ます。まさに監視社会であり、AIが人手に置き換わる社会の出現です。AI世界を制したものが、新時代をリードすることも考えられます。

 ねじ製造の世界もAIで、蓄積されたデータと共にリアルタイムで生産工程(人、設備、材料、方法)の条件や状態と変化のデータが把握でき、活用されるようになるでしょう。また実際に締結されている1本1本のねじに掛かっている負荷と状態、外力とその変化なども瞬時にデータとなって入手可能となる日も遠くないとも感じます。そこでは締結体の設計基準も変わるでしょうし、ねじに要求される仕様も変わる可能性大です。

 そうした時代の到来を目前に控えて、ねじ業界としての先進の情報収集することも必要と思います。先日の調査でも、協会に期待する活動のトップは、今後の業界動向に関わる情報交換であり、その為のネットワーク作りでした。そのような意図もあり、先進のドイツとの交流を推進することにしています。

 また2019年度の協会の事業では、これまでに8回実施され累計で377名の方が合格されているねじ製造技能検定事業、7月のプレス・板金・フォーミング展(MF-TOKYO 2019)への出展、2020年の協会創立60周年記念事業の準備、政府が創設した外国人材の活用制度への対応や女性活躍・高齢者活用など人材に関する事業などを推進することにしています。今後とも業界と協会の発展の一助となるよう努力して参りたいと思います。 

 ねじは、あらゆる分野で使用され役立っている基礎部品であり、なくてはならないものです。まさに「この世はねじでできている」です。6月1日を迎え、「ねじの日」が、ねじの正しい評価を一層広める機会となり、またねじに携わっていることの誇りを改めて思い起こす日となることを祈念します。

 最後になりましたが、会員をはじめねじ産業に関係する皆様方のご発展並びにご健勝を心よりご祈念申し上げて、「ねじの日」のご挨拶とさせていただきます。