会報ねじ

ねじの常識、非常識 #1

2013年03月31日

ねじの常識非常識.jpg  

Q:石膏ボードに直接、タオル掛けをタッピンねじで留めたがすぐに取れてしまう。

  ねじの選び方または、石膏ボードの問題でしょうか?

 

A:石膏ボードに直接、タッピンねじで物を固定することは推奨しません。

  石膏ボード用の特殊なアンカーがあり、これを使うことにより脱落を防止することができます。

 

 

 まず、石膏ボードの説明をしましょう。石膏ボードまたはプラスターボードは、石膏を
主成分とした素材を板状にして、特殊な板紙で包んだ建築材料です。
安価で丈夫であり、断熱・遮音性に優れ、室内の壁・天井に最も多く使われている
建築材料で、ペイント塗装、クロス張り仕上げの下地材として、住宅・学校・ビルなどの
壁・天井の内装に使われます。石膏ボードの中には「シックハウス症候群」の原因と
なっているホルムアルデヒドを吸収し、分解する機能を持つ物もあります。

 ところで、石膏ボード用のねじについては一般社団法人石膏ボード工業会によると、
JIS B112 十字穴付木ねじとJIS B1125 ドリリングタッピンねじが推奨されていてどちらも、
めねじを成形しながら物を固定するものです。
しかし、これは石膏ボードを施工するためのねじであり、石膏ボードの壁に何かを取り
付けるためのものではありません。

 次に、なぜ脱落してしまうのかを説明しましょう。石膏ボードには結晶水が約21%相当
含まれており、これが耐火性に大きく寄与しています。しかしながら、簡単にいえば、
水分を含んだ物を板紙で包んだだけの物であるため、逆にもろい物でもあります。
そのため、十字穴付木ねじやドリリングタッピンねじを使うと石膏ボードの組織を破壊し
ボロボロになってしまい、保持力が得られないため、ねじが抜けて留めた物が取れて
しまうのです。

 これは、石膏ボードに直接ねじで締め付けを行った場合であり、石膏ボードの下地が
木材の場合は、木材で摩擦抵抗が得られるため、脱落はしません。

                         問題ある施工事例

H2403ねじの常識.jpg

 最後に、脱落を防止するために次のようなアイテム(アンカー)がありますので
参考にして下さい。

1)石膏ボード用アンカー(樹脂ねじタイプ)

2)ボードアンカー

3)トグルアンカー

 使用事例は写真のとおりで、このようなアンカー類を使用することにより
石膏ボードのねじ脱落を防ぐことが容易になります。

 従って、石膏ボードにタッピンねじで留めたタオル掛けがすぐに取れて
しまったのは、ねじの選び方の問題ではなく、石膏ボードの特性を考えた
アンカーを使用しなかったことによるものなのです。

 

-  石膏ボードの特性を考えたアンカー  -

1) アンカー(樹脂ねじタイプ)                                        施工後

2アンカー(樹脂ねじタイプ).jpg

3アンカー施工後.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2) ボードアンカー                                         施工後(裏側)

4ボードアンカー.jpg

5ボードアンカー施工後.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3) トグルアンカー                                             施工後(裏側)

6トグルアンカー.jpgのサムネール画像7トグルアンカー施工後.jpg