中小企業庁北川長官の年頭所感
★年頭所感★
中小企業庁長官 北川 慎介
平成26年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
安倍政権発足後、長引くデフレからの早期脱却と経済再生を図るため、政府は「大胆な金融政策」、
「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を一体として強力に推進してまいりました。
その結果、実質GDPが4四半期連続でプラス成長となるなど日本経済は着実に上向いております。
景気回復の実感も、少しずつ中小企業・小規模事業者や地域経済に波及し始めております。この実感をより多くの
皆様に届けられるよう、中小企業庁としては、被災地の復旧・復興支援、小規模事業者に焦点を当てた施策展開、
日本再興戦略で掲げた目標を達成するための新たなチャレンジの応援、消費税率の引上げへの万全の対応、きめ
細やかな資金繰り支援の5つの政策課題を中心に積極的に取り組んでいきます。
「被災地の復旧・復興なくして、日本の再生なし」。中小企業庁としても、まず取り組むべき課題は、被災地の
1日も早い復旧・復興です。景気回復の兆しを、復興の加速へつなげていかなければなりません。
特に復興が遅れている地域の中小企業等グループの施設等の復旧・整備を支援する中小企業等グループ補助金
については、これまで累計で549グループ、国費で2,820億円の支援を実施してきております。
着実に進んでいる産業の復興の動きを確実なものとするため、被災した中小企業・小規模事業者の復旧・復興の
取組を引き続き支援してまいります。
第二に、全国の中小企業の約9割を占める小規模事業者に焦点を当てた施策展開を図ってまいります。
既に、昨年の通常国会において8本の関連法案を一括で改正した「小規模企業活性化法」が成立いたしました。
平成26年度当初予算案においては、日本政策金融公庫による小規模事業者向けの貸付制度である「マル経融資」
の貸付上限額を1,500万円から2,000万円に拡大しております。さらに、現在、小規模事業者の振興のための
「基本法」を次期通常国会に提出することを目指しております。地域における重要な経済主体である小規模事
業者を施策の中心に据え、今後もより一層、小規模事業者によるニッチな顧客への販路開拓や、地域の需要に
応じた新商品・新サービスの開発等を応援してまいります。また、商店街に対する支援として、平成25年度
補正予算案では225億円を措置しております。引き続き小規模事業者への支援に鋭意取り組んでまいります。
第三に、「日本再興戦略」で掲げた3つの目標、
(1)開業率・廃業率を米国・英国レベル(10%台)に引き上げ
(2)2020年までに黒字の中小企業・小規模事業者を倍増
(3)2013年からの5年間で新たに1万社の海外展開
それぞれの実現を目指し、新たなチャレンジを行う中小企業・小規模事業者を応援します。
具体的には、秋の税制改正大綱で、中小企業投資促進税制の拡充・延長など大胆な減税措置を決定すると
ともに、平成25年度補正予算案では、「ものづくり補助金」について、1,400億円を措置し、対象をものづくり
分野に加え商業・サービス分野まで拡大いたしました。
また、昨年の臨時国会で成立させた産業競争力強化法に基づき、意欲ある市区町村による創業支援体制の
構築を支援していくなど、今後も引き続き中小企業・小規模事業者の思い切った事業展開を支援してまい
ります。これにより、中小企業・小規模事業者が収益を上げ、その収益の増加が従業員の賃金の増加や
所得の拡大につながり、これが消費の拡大を生む、という「経済の好循環」を実現していきます。
第四に、本年4月の消費税率引上げに向け、中小企業・小規模事業者が不当な不利益を被ることのないよう、
万全の対応をとってまいります。既に、消費税の引上げが決定された翌日の10月2日に「消費税転嫁対策室」を
設置し、新たに配置した474名の転嫁対策調査官の下、転嫁拒否行為等の監視・取締りを行っております。
また、中小企業関係団体とも連携し、事業者からの相談に対応する窓口を整備しているとともに、専門家による
出張相談も行い、引き続き積極的に広報・周知を行ってまいります。
第五に、原材料・エネルギーコスト高の影響や消費税率引上げに万全を期すため、引き続き中小企業・小規模
事業者の資金繰りを支援してまいります。平成25年度補正予算案においても、セーフティネット貸付の拡充や
借換保証の推進を図ることに加え、老朽化した設備の更新や、給与支払い総額の引上げ等の実現に取り組む
中小企業・小規模事業者に対して政府系金融機関の金利を減免し、地域における「経済の好循環」を後押しします。
また、経営者個人の保証に依存してきた従来の融資慣行を改める画期的な内容を盛り込んだ「経営者保証に
関するガイドライン」の運用が本年2月に開始されることになりました。これに伴い、利用を希望される方に専門家を
派遣する体制を整え、支援を行ってまいります。
こうした取組を通して、景気回復の実感を全国津々浦々、地域経済を担う中小企業・小規模事業者に行き届かせて
まいります。
最後に、本年が中小企業・小規模事業者の皆様にとって大きな飛躍の年となるよう祈念し、私からの新年の
御挨拶とさせていただきます。